トッド・ローズ著
ハーバードの個性学入門 平均思考は捨てなさい
一つ前に読んだ「集団の思い込みを打ち砕く技術」が面白かったのでこちらも読んでみました。
「平均」って平均身長、体重、体力、学力 、年収 etc... 子供の頃から当たり前にあって平均より上かしたかで一喜一憂することはあっても、「平均」というものについて深く考えたこともなければ疑問に思うこともなかった気がします。
そもそも平均とはいつ、誰が、どのように生み出して、どのように広まっていったのかという成り立ちから、それによって現代ではどのような弊害があるのかということに触れていて、あまりにも当たり前になりすぎていたから通り過ぎてきたけど、言われてみれば確かにそうかもということばかりでかなり面白かったです。
多くの人が平均を目指して生きていて、みんなと同じになってみんなと同じことで秀でようとしているけれど、人の才能にはバラツキがあるし、その才能が発揮されるか否かは環境などによっても変わってくる。それに自分の目指す目的地への道は一つではなくいろんな迂回路が存在しているのにも関わらず、「平均」の存在により個々の特性を捨て、社会の制度に合わせていかなければならない仕組みになってしまっている。
本書ではこの平均で成り立っている社会への改善案も提示されていて、実現できたら素晴らしいだろうなと思いつつ、自分も含め周囲の人たちもあまりにも「平均」が刷り込まれすぎていて平均思考を捨てるのはなかなか難しそうだなと。
社会は変えられないし、変わらないとしても、これまで一つの物差しで物事を測ろうとしていた自分にとってはとても価値のある本でした。